「手作り石けんていいよ、万能だよ」
こうお話しすることが多いですが、
わたしの作る自然な石けんが
唯一「機能」として
役割を果たさないものがあります。
それは
「香りを身体(皮膚)に残留させること」
これまで様々な方と
話をさせていただく中で
「体を洗うもの」に対する
「香り」への期待が
すごく大きいことがわかりました。
もちろん香りは大事です。
ただ、少し気になっているのが
「周りの人が気付くくらい、香りが肌に残る」
というのが、当たり前のように期待されていることでした。
日常で何気なく使われている
市販の商品からの
影響の大きさを感じます。
なぜ懸念をするかというと、
ボディーソープまたはシャンプーや石けんで
髪、顔、体を洗ってお湯で流して
それでも肌や髪に強く残留する香りは・・
かなり強い化学物質である
合成香料の可能性が大きいからです。
お湯で流してもずっと取れないって、
逆に少し怖いな、とわたしは感じています。
それから、
「石けんの香りのする女性がいい」
という表現が一昔前からありますね。
これも、合成香料大量生産真っ盛りの頃から
言われ出したのだと推測しますが
そもそも多くの日本人の方が思う
「清楚な石けんの香り」は
人の手によって作られた人工的な合成香料です。
無香料の自然な石けんを使ったことが
ある人はわかると思いますが
本当の石けんの香りって・・
オイルがアルカリと化学反応したあの独特な香り、です。
ユリやすずらんなどに似せて
作られた人工的な香りにはならないのです。
そして自然な石けんを使って水で流したら
その香りはほとんど肌に残りません。
確かにわたしの作る自然な石けんは
天然香料である「精油」を使って
香りづけもします。
泡立てて使う際にふわりと香りますが
(これがまた最高)
「肌に残って強く香る」ということはなく
むしろ、そこはほとんど期待していません。
石けんに期待する機能や役割って何でしょう。
わたしにとっての答えは
「安全に肌を健やかに清潔に保ってくれる」
もうこれしかなくて、
これ以上でも以下でもない
でもちゃんと機能していること。
本当に、これしか求めていないです。
ところが、このシンプルさを一般市場に
求めるのが実に難しい。
だから、ちょうどよくて
ぴったりのものを自分で作ったんだよな、
と昔の気持ちを今でも鮮明に思い返せます。
香りがある暮らしは、わたしも大好きです。
でも香りをまといたいのなら、
洗浄剤に求めなくても
もっと確実な他の手段がたくさんあります。
それこそ、シャワー後にアロマオイルを使ったり
お気に入りの香水をまとったり。
もちろん!
これもあくまでもわたしの意見なので
「洗うことで香りを肌にまとう」ことに
プライオリティーを置いている場合は、
それを大事にしたらいいのです。
(わたしもお気に入りの香りのボディー用製品があります。
たまにしか使わないから全然減らないですが、、)
ただ、自然な石けんの概念として
「不自然に残留するほど強い香り」や
「石けんの香り(人工ver.)」があることが
当たり前に思われなくなるといいなぁ
と願っています。
井出順子
★手作り石けん画像はインスタグラムにアップしています https://www.instagram.com/junkoide_/
★著書『石けんだけで肌はきれいになる』
コールドプロセス製法の手作り石けんの実用書。
最新決定版 (KKベストセラーズ刊)
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